それは40代に入ってすぐ平成元年でした
その年は正月からピリピリしていました
丸一年掛かりで開発してきた一億円の生産システムを4月からテイクオフする予定でした
自分が製造課長をしていた時の経験や改善案の集大成として組み上げたいと
PCの申請を本社の情報システム部に上げたところ
それにうまく便乗され、大掛かりなシステムを組み上げることにされてしまいました
そしてプロジェクトリーダーに据えられてしまったのです
これが第一の苦境です
自分としては自分の手でできる範囲で考えていたのですが
そのころ情報システム部でも生産システムを構築しなければならないと考えていて
そんな時ちょうどいいカモが来たようなものです
ただ自分としても、製造課長として最終的に部品加工、表面処理、製品組立の
三部門を請け負うまでなっていたのでその知見を活かして
理想のシステムを組み上げるチャンスでもあったのです
しかし開発してみると理論と現実の管理水準とのギャップなどが顕著になってきて
実際始めたらどうなるか期待と不安の入り混じった心境でしたが
正月に入っていよいよ飛び込み台に立つ心境でおとそ気分すらなく悶々としていました
こんな時に第二、第三の悩み苦しみが襲ってきたのです
今振り返るとこの三重苦を乗り越えたことで今の自分があるのだなと思います
人は絶頂とどん底の時にどう考え行動するかでその本質が現れます
まさしく心境としては自分の人生のどん底でありました
浜松市楽器博物館
The Hamamatsu Museum of Musical Instruments
アップライトピアノの機構です
こうしてみるとこの頃のピアノというものは
機械工学的にハイテクの塊だったのかもしれません
しかも鍵盤やハンマー製造の均一性などを考えると
生産技術上高度なものを要求されています